聖地から来たルチルクォーツ
Rutilated Quartz / Manikaran Himachal Pradesh, INDIA
この石を見てまず驚きました。
はっきりとルチル(金紅石)が内包されているのが解る!
え?ルチルクォーツなんて結構あるじゃないかって?
そう産地が意外な場所なのです、このルチルクォーツはヒマラヤの石なのです。
昨今のクリスタルヒーリングブームで聖地の石として大人気なのがヒマラヤの水晶です。
ひとくちにヒマラヤといっても広大な山脈の事、どの辺りで採掘されたものかによって形も雰囲気も異なり様々なヴァリエーションが見られるのも人気の理由。
しかし、今迄見たヒマラヤの水晶内の針状結晶は質感から云って角閃石と思われるものが殆ど、このようにはっきりと断定出来る原石は見た事がありませんでした。
この水晶の中にはルチルが3種類の形状で内包されています、まず奥に見える金色の金属光沢の針状結晶、そして手前に見える黒~暗褐色の光沢を持つ針状結晶こちらは色々な方向で透かしてみるとと部分的に針が赤く透けているのが解ります。
もう一つは下の部分に見られる板状結晶で黒銀色と金色のグラーデーションではっきりとした金属光沢があります。
この新しい産地で見つかるルチル入り水晶の中には放射線状に針が拡がる「ルチルサン」がいくつも見られる見事なものもあるそうです。
写真の石はニューデリーの北方のヒマチャルブラデッシュ州 パールヴァティ渓谷の最奥地に位置するマニカランで採掘された水晶です。
マニカランは標高2000mの山で、その付近はシーク教の聖人によってもたらされた温泉が出る聖地として知られています。
マニカランの水晶というと鉱物好きな方ならアイスクリスタルと呼ばれる個性的な蝕像水晶が思い浮かぶ方も多いでしょう。
同産地では前述のアイスクリスタルの他にも透明度の高いヒマラヤらしい優しい雰囲気の水晶が近年市場に出始めていましたが、今回の石は従来の採掘場より更に1000M以上の高い新しい採掘地で見つかったのものだとのことです。
この新しい産地は氷河が溶けた事により始めて採掘が可能となった場所だと聞き、新しいタイプの石が見つかった事を嬉しく思う一方で、これも温暖化の影響なのだろうかと少し複雑な気持ちになりました。