ダルネゴルスクの白い蕾
Quartz/Dalnegorsk/Russia
写真の不思議な形状の水晶は極東ロシア「ダルネゴルスク(Dalnegorsk)」の水晶。
ダルネゴルスク*はロシアの極東部、沿海地方のポグラニーチヌイ地区に属する鉱業都市、隕石の落下で有名なシホテアリニ山脈の中に位置します。
ダルネゴルスクは石好きの間では不思議水晶の一大産地として知られています、
私もこの産地の水晶が大好きで、フェア等で「面白い石だなぁ」と思ってラベルを見ると大抵この産地のものであったりします。
*石の産地としては"ダルネゴルスク"の表記が多いが地理系のサイトでは”ダリネゴルスク”の表記も多い/ロシア語表記ではДальнегорск
ダルネゴルスクで採れる水晶は個性的で不思議な姿の石が多く、この水晶もまるで蓮の蕾のような少々不思議な形。
ぱっと見には真っ白な水晶なのですが、写真の様に光に透かすと花びらの様に重なり合った周囲の結晶はうっすらと半透明、まるで寒天の様な何とも不思議な質感です。
この石は残念な事に底辺がスッパリ切られています、母岩から外した時にそうしたのか、あるいはクラスターだったのを分けたのか、自然のままを最良とする原石派としては残念ですが、おかげで底から中の構造を見る事が出来るのです。
その切断面から覗くと先ず芯になる水晶ポイントが成長し、その後に途中から何か大きな環境の変化があったのか形状の異なる周囲の半透明の部分が後から成長していったのが解ります。
全体が花びらの様に入り組んだこの奇妙な形は、同産地のグロースインターフェレンス(成長干渉)タイプの水晶と同じ様に水晶が成長する際カルサイトなど他の鉱物の影響を受けた為なのかも知れません。
あたかも花開く寸前の様な自然が刻んだ「白蓮の蕾」
極東ロシアの自然が育んだ何とも個性的な水晶です。