星の欠片
METEORITE(Octahedrite)/Sikhote-Alin/RUSSIA/1947/2/12/am:10:38
しんと澄み切った森の空気を楽しみながら、晴れ渡った空を眺めていると奇妙な事に太陽が2つ見える、幻日にしては明るすぎると驚いていると、あっという間に太陽の一つが分裂し光の尾を引きながら雨のごとく周囲の森に降りそそいで行く…
写真の石を家に迎えた晩に見た夢。
この石は我が家のコレクションの中でも、もっとも遠くの地から来た石です。
遠くの地とは宇宙、そうこの石は隕石、1947年に極東ロシアシホテアリニ山中に落下した小惑星の一部です。
隕石はその成分によって数種に分かれます、この隕石はIIABに分類されるオクタヘドライト(Octahedrite)、鉄とニッケルを含む隕鉄の一種です。
手にとって観察すると表面には大気との摩擦で生じた無数の凹み(レグマグリプツ)が見られ、落下の早い段階で本体から離れ大気摩擦により金属の塊が溶解した凄まじい様子が伺われます。
シホテアリニ隕石の落下は1947年2月12日午前10:38頃、ウラジオストックの440km北東に位置するシホテアリニ山脈の山中で巨大な火球が空中で爆発し凄まじい轟音と共に無数の隕石を降らせました。
隕石は半径1.3K平方メートルの広い範囲に降り注ぎ中には大きなクレーターを作るものもあったそうです、爆発中心となったのは宗谷岬とほぼ近い緯度にあたるシホテアリニ山中のパセカ(Paseka、北緯46度9.6分、東経134度39.2分)の村の近くでした。
この火球はその後の調査で火星と木星の間に存在する小惑星帯(asteroid belt)から飛来し地球の引力に捕われて衝突、大気圏に落下した小惑星と解りました。
この小惑星の総重量は900t前後と云われていますが、しかし現在迄に地上で回収されたのはその内のほんの一部です、つい最近もロシアからポーランドへ隕石を密輸しようとして逮捕された事件があったそうですからシホテアリン山脈には未だ々数多くの隕石が眠っているのかもしれません。
しかし、これだけの大爆発にも拘わらず人的被害は殆ど出なかったという広大なシベリアの大地を思うと、見つけるのは至難の業に違い有りませんが。
さてこのエントリーの冒頭に記した夢、内容は実際にあった隕石落下の様子をほぼ忠実に再現している様に思えます、未だ何も調べていない時点で見た夢なので後で調べた内容と一致した時はとても不思議に思ったものです。
特にこの隕石落下が日中に起こった事を何故自分は知っていたのだろう?
実はこれには種明かしがあったのです、この隕石のラベルを良く見たら落下時間が記載されていました、本人は無意識に眺めていても脳の何処かに記憶されていたのでしょうね(笑)
いやしかし、そんなロマンの無い事ばかり言わず、やはり「星の欠片」が見せてくれた夢、そう思う事に致しましょうか。
隕石落下の様子を表したロシアの切手