KAMMENNYI TSVETOKー棗猫の標本箱

"KAMMENNYI TSVETOK(カーミニツヴィートク)"は鉱物蒐集に関する個人的な覚え書きのBlogですFC2より引っ越しました。 サイト名は真の美しさを求め石の花を追い求める石工を描いたロシアの作家パーヴェル・バショーフの小説集の題名「石の花」のロシア語表記から採りました。 *当サイトの管理人は著作権を放棄しておりません、文章及び画像の無断転載はご遠慮下さい。

第18回国際宝飾展(IJT2007)

相変わらずののんびり更新で申し訳ありません。

さて、もう先月の事になってしまいますが1月24日より27日までの四日間、東京有明の「東京ビックサイト」にて宝飾業界国内最大規模の展示会第18回国際宝飾展(IJT)が盛大に開催されました。

宝飾業界の片隅に身を置いている私も1月の仕事始めから出展準備に追われまくり、例年この時期はくたくたになってしまうのです。

今回自社のブースから長く離れられず余りちゃんと見て回れなかったのですが、簡単なレポをお届け致します。

まず初日のハイライト日本ジュエリーベストドレッサー賞の授賞式。

その様子はワイドショーなどでご覧になれた方もおられると思いますが、この賞に選ばれると一人に対して数社から貴金属や時計が贈られますから、選ばれただけでちょっとしたジュエリーコレクションが完成しまうという何とも贅沢な賞なのです。

今年の受賞者の中で何といっても一番人気だったのは倖田 來未さんでしょう、彼女が移動する度に人山が一緒に移動して行く様子は実に壮観でした(結局私の場所からは一目も見れず^^;)

女性に人気だったのは速水もこみちさん、背の高い人なので人垣の中から頭だけ見えてまるで富士山の様です(笑)顔の小ささにはびっくりしました。

その可憐さに感動したのは女優の長澤 まさみさん、TVで見ると「隣の少女」的な彼女ですが実物は透明感のある美貌とすらりとした手足が素敵なまさに「フローレス」な美少女でした。

予想していた通り二日目以降はとても暇、出展社側の立場からすると例年忙しいのは初日と二日目のみなのに、何で今回1日増やしたのか疑問なのですが土曜日に来場する一般ユーザー層も見込んで動員数を稼ぎたい主催者側の思惑も有る様です。

正直宝飾の卸業界に身を置く人間としては、このような卸を中心にした催事のチケットを一般消費者に無差別に販売する事に微妙なものを感じるのですが…。

肝心の宝石はどうかといいますと、まず目についたのは数年ぶりに大粒で高品質なものが並んだ「パライバトルマリン

とはいっても産地はオリジナルのブラジルでは無くアフリカ産、ナイジェリアに続きモザンビークで良い鉱床がみつかり特にモザンビーク産の高品質なものはブラジル産に比べても遜色無しとの事でした、実際ブラジルの石と一緒に並べてあっても全く見分けがつきません。

昨年5月に一定量の銅とマンガンを成因としたネオンブルー(グリーン)の発色をもつトルマリン(エルバイト)は産地に関係なく「パライバトルマリン」の名で呼ばれるという鑑別団体からの正式見解が出て論議を呼びましたが、この様な品質の良いものなら特に産地にこだわる人以外は「パライバ」の名称を使っても問題にはならないでしょう。

ほぼ枯渇状態であったブラジルの鉱山と違い、モザンビークの鉱山では未だコンスタントに産出されているようです。

この状況が何時まで続くかは解りませんが、産地にこだわらず美しいネオンカラーのエルバイトを探している方は良いものが豊富に揃っている今が手に入れる良い機会かもしれません。

他には鮮やかな緑の質の良いロシアのデマントイド・ガーネットを出品している業者さんも居ました。

ロシア貴族達に愛されたデマントイドはロシア革命後一度は絶産状態であったものが2002年より鉱山の再開発が進められ数十年振りに良いものが出たと云う事でした。

それにしてもつくづく日本人は稀少鉱物、それも緑の石が好きな様です。

業界団体やDTC傘下のサイトホルダー各社など卸を目的とした企業ブースが多いA会場に対し、ルースなどの宝飾素材を扱う業者が多いB会場は業者と一般ユーザーが入り交じってお目当てのモノを探すバーゲン会場の様な熱気があります。

仕事の素材探しも兼ねて、ざっと廻ってみましたが今回は手堅いというかコランダムやベリル系などの定番石材を出している業者さんばかりが目立ち、鉱物ヲタク的に余り面白みのあるものはみつかりませんでした。

コロンビア産のエメラルドの原石を出しているお店が在って心が惹かれたのですが、ディスプレイとしては良いけれど標本としてみると中途半端、値付けが高い事もあって見送りました。

総じてIJTに出ている宝石原石は高めです、宝石商が宝石感覚で値付けするからでしょうか。

手頃な価格のアウインを探していたのですが、殆ど出ていない上に有っても高い(^^;もともと稀少宝石なので仕方がないのですが、小さなアウインに10万以上出せるくらいならパライバ買っちゃうよなぁ…。

出物は無いかと均一コーナーも何となく見ているとアウインとパライバの中間の様な微妙なネオンカラーの青い石がありました、何だろうと思ったら「アパタイト」、「ネオンブルーアパタイト」なんて名前が付けられていました。

主催者発表によると来場者は4日間通して38,000人以上、我々出展社も含めると実に50,000人以上の人間が会場を訪れた事になるそうです。

先ずは盛況の内に終了と言って良いでしょう。

その割には同業者からは「来場者が少ない」という嘆きの声が多く、私自身も同じ感想だったのですが…。

さて最後に会場で見かけたIJT名物意味も無く「バブリー」&「ゴージャス」なものを写真で御紹介♪豪華すぎて笑えますよ(^▽^)

ダイヤ原石

ロシアダイヤの原石、まるで氷砂糖の様です。


ダイヤのドレス

何でいきなりドレス?実はドレスのふちに縫い付けられているラメの様なものは全て本物のダイヤモンド、時価4億円也、誰が着るんだ…。


翡翠の置物

B会場の中国系企業、巨大な翡翠の置物をずらりと並べていました。



ライトの所為で金色に見えますがプラチナを2kg以上450個のダイヤモンドを使って作られた「モン・サン・ミッシェル」塔の中心に取り付けられているのは20ct以上のダイヤモンドです。

(この写真のみ拡大してご覧になれます)