KAMMENNYI TSVETOKー棗猫の標本箱

"KAMMENNYI TSVETOK(カーミニツヴィートク)"は鉱物蒐集に関する個人的な覚え書きのBlogですFC2より引っ越しました。 サイト名は真の美しさを求め石の花を追い求める石工を描いたロシアの作家パーヴェル・バショーフの小説集の題名「石の花」のロシア語表記から採りました。 *当サイトの管理人は著作権を放棄しておりません、文章及び画像の無断転載はご遠慮下さい。

スペシャル!

バイカラーベリル

Bi-color Beryl/

Baha, Braldu Valley, Skardu District, Baltistan, Northern Areas, Pakistan

新宿ショーの捕獲品です。

ベリルなんて滅多に買わないんですが、この石にはやられました。

アクアマリンとモルガナイトのバイカラーのベリルです、このタイプ一昨年あたりから見かけるのですが結晶の形の良い物は色が淡く今ひとつピンとくるものが無かったのです。

モルガナイトは多くが短柱状や平板状で出ます、その為かこのタイプのバイカラーベリルも短柱状の結晶が多く、アクアマリンの様なすっきりとした長細い結晶で色のはっきりと出ているものは見た事がありません。

この石もずんぐりとした形ですが、晶頭がキチンと残っているところとベリル版ブルーキャップと呼びたくなるアクアマリン部分の色鮮やかさに惹かれました。

ベリルは六方晶形を形作るベリリウム(Be)を含むケイ酸塩鉱物でその豊かなカラーパレットで知られた石です、グリーンのエメラルド、ブルーのアクアマリン、イエローのヘリオドール、ピンクのモルガナイト、無色のゴシェナイト、赤いレッドベリル(レッドベリルだけ特有の宝石名が無いのは、産出量が少なく宝飾品としてほとんど流通しないからではないかと思います。)

それぞれの色の違いは含まれる元素によって生まれます、アクアマリンは鉄 (Fe2+)モルガナイトはマンガン(Mn)による発色です。

この結晶の様なバイカラーは青-ピンクの組み合わせ以外にもAqua-Gshenite(青ー白)やAqua-Heliodor(青ー黄)という組み合わせも存在します。

緑のエメラルドとブルーのアクアマリンのバイカラーも存在するという噂もありますが、残念ながら実物を見た事はありません。

この石、実はもう一つ面白い特徴があります。

ブルーのアクア部分に透明なチューブインクリュージョンが含まれているようで光の当たり方によってはシャトヤンシー効果が見られるのです。

なかなか見所の多い「スペーシャル」な石でしょ(^_^)

バイカラーベリル