手のひらの上の世界
Goethite With Quartz/ Bou Tazoul/Morocco
まるで鍾乳洞の一部の様ですが、実はこの風景は手のひらの上に乗ってしまう程の大きさの晶洞(ジオード)の中を写したものです。
正式には“異質晶洞”と呼ばれるジオードは岩石の空洞の中に別の鉱物が結晶化し成長したものを指します。
多くの場合空洞はマグマに溶け込んでいた水や気体がガスとして抜けた跡と考えられます、その後に別の鉱物の元となる水溶液が染み込み、それが結晶化し成長して異質晶洞が形成されるのです。
この石の場合は水晶と共に針鉄鉱(Goethite)が共生し、相互に影響しあってまるで地下宮殿のような奇妙にも美しい景色を造り出しています。
私は石を集める喜びの一つには自分だけの小さな世界を見つけだす事、ある種の箱庭的な楽しみ方もあると考えています。
この様なジオードは自然のミニチュアとしての鉱物の魅力を最も分りやすく伝えてくれる石かも知れませんね。