ヘビ苺の正体は?
ミネラルフェアでは普段国内に出店していない海外の業者から直接石を購入する事が出来ます、中間マージンが省かれるので国内相場より安価に購入出来る可能性が高く思わぬ掘り出し物を手に出来るチャンスも拡がります。
もちろん落とし穴もあります、あれだけ出展者が多いと必ずしも良心的な業者ばかりとは限らないので、うっかりするとフェイクやリペア品を掴まされる可能性もあるのです。
まさに玉石混交、この「宝探し」的な要素もミネラルフェアでの楽しみの一つといえるでしょう。
海外の業者さんはラベルを付けずに石を売ってる事があるので必ず鉱物名と産地をメモ書きしてもらう事にしています。
でもそのラベルが絶対かというと…結構アバウトな事もあります、怪しいと思ったら自力で調べ直すしかありません(^^;
写真の暗紅色の「ヘビ苺」の様な球状結晶は「Cobalto Calcite」として入手したものです。
しかーし写真を撮る為にこの石をしげしげ見る内に疑問が湧いてきました、これホントにカルサイトなんだろうか?
先ず形状をチェック、球状に結晶するカルサイトは良く見かけます。
問題はこの色です、コバルトカルサイトの色は大抵鮮やかなマゼンダカラーその色が濃くなったものと考えれば納得いかない事も無い。
だけれど何か引っ掛かる、結晶表面のテクスチャ-が何となく違うように思うのです。
こういう時に便利なのがMindat Directoryのサイトです。海外のコレクターやディーラーの鉱物コレクションを、地域 鉱物種別に緻密にデーター集積したWEB上の鉱物図鑑です。
さっそく産地名と鉱物名で検索してみます、片っ端から画像をチェック、同じタイプのものが見つかればビンゴです、う~ん似たタイプの石無いなぁ。
今度はこの産地で産出される他の鉱物のデーターをチェックします、何か似た感じの鉱物が。。「Roselite」
そう「ローズ石」先日アップした「氷いちご」の「いちご」です。
試しに「Roselite」でGoogleで検索にかけると非常に似たタイプのものが見つかりました。
これは決定かな、しかし気になる点があります。
実は「Roselite」には「三斜晶系」を示すタイプの「βーRoselite」と言う変種があるのです。
結晶を形成する原子の構造が結晶する環境によって形が変化した「Roselite」の同質異像(polymorphs)との事ですがこの辺で文系頭はぐにゃぐじゃ状態に(^^;A
「ローズ石」グループは只でもややこしく含まれるコバルト(Co)とマンガン(Mn)の割合によってウェンドウィルソン石(Wendwilsonite)となり、その同質異像がタルメシ石、その上、どれも見た目は似ているらしい、もう何が何やら。
ちなみに周りに付いているうす紅色の透明な結晶はラベルの通りコバルトカルサイトだと思います。
私の文系頭ではこれ以上は無理(苦笑)
というわけでこの石には自己鑑別の結果「Roselite with Cobalt Calcite/Aghbar MOROCCO」というラベルを付ける事にします、この写真を観て「違うよこれは○○だよ」と分った方がいらっしゃいましたら、是非コメント下さいね。
【010/7/22追記】ホリミネラロジーさんのBlogで同じタイプと見られる石が紹介されています。
分析の結果やはり赤い球体は「ロゼライト」だそうです。おかげさまでスッキリしました。
http://hori.co.jp/news/2010/07/47th-euro-mineral-euro-gemno5.html