KAMMENNYI TSVETOKー棗猫の標本箱

"KAMMENNYI TSVETOK(カーミニツヴィートク)"は鉱物蒐集に関する個人的な覚え書きのBlogですFC2より引っ越しました。 サイト名は真の美しさを求め石の花を追い求める石工を描いたロシアの作家パーヴェル・バショーフの小説集の題名「石の花」のロシア語表記から採りました。 *当サイトの管理人は著作権を放棄しておりません、文章及び画像の無断転載はご遠慮下さい。

もう一つの聖火

チベットの為の灯火

今夜オリンピックの「聖火」とは別にもう一つの「祈りの火」が世界中を照らしている事をご存知でしょうか?

Candle4Tibetは五輪の華やかな祭典の影で苦しむチベットの人々の為に祈りを捧げる、「光のプロテスト」です。

私も彼の地で産まれた小さな水晶と共に平和を祈る事にしました。

この水晶はチベットの聖なる山「カイラス山」から来た水晶、ご縁があってある方のご好意によって頂いたものです。

カイラスはヒマラヤに白く聳える独立峯、その孤高の姿からチベット仏教ヒンドゥー教、ボン教ジャイナ教などアジアの様々な宗教の聖地として崇拝と巡礼の対象となっています。

この小さな水晶の群晶も聖山に入山を許されたラマ僧が一つ一つ丁寧に手掘りして山から持ち出して来た物の一つなのだそうです。

小さいながらもバジュラを連想させるダブルターミネーター(両剣水晶)の集合体で、表面がつや消しに見えるのは微細な石英粉が覆っている所為、表面は曇りガラスの様に穏やかで柔らかい質感ながら、よく見ると中は非常に透明度の高いシャープな形状の水晶であるのが解ります。

中にふわりと浮かび上がる「虹」が美しく、時折それを眺めながら聖なる場所の石を私が持っていて良いのか?と考え込んでしまうことがあります。

チベットの問題に多くの人が関心を持つのは、それが一つの象徴となっているからでしょう。

民族と民族の対立、急速なグローバル化による民族固有の文化の危機。

一方が恩恵を齎すと思ってやった事が他方にとっても「幸せ」とは限らない、そんな事は世界中で、ここ日本でも起こっている事だと思います。

聖なる地も別の目でみれば、豊かな鉱物資源を持つ「鉱山」一つに過ぎないのかもしれません。

こうして異国の石を集め続ける私自身も自然の簒奪者の一人に過ぎないのかも…

でも、今はただ祈りたいと思います。

チベットの平和とこの波乱の多いオリンピックが無事に終わります様にと。

カイラス山水晶群晶

Quartz/Mt.Kailas/Tibet