虹の卵
写真の石はエチオピアのオパール、ちょうどウズラ卵を半分に割った位の大きさです。
前から欲しいなと思っていたのですが予算が合わず諦めていた所をIMAGE2008で思わぬ「プチプライス」で手に入れる事が出来ました。
オパールの産地としてはオーストラリアとメキシコが有名ですが、近年(1992年)東アフリカのエチオピアから2大産地の物に劣らない魅力的なオパールが発見されました。
この産地のオパールは龍紋岩層の中に含まれるノジュール(塊状)として採掘され、そのうちの65%は不透明なコモンオパール、30%前後が透明で遊色効果の見られないオパール、美しい遊色を持つプレシャスオパールは僅か5~6%であるそうです。*
地色は様々で透明から白、黄色、赤、茶色など。
写真の石の様に茶色の地に鮮やかな遊色が見られるものは「チョコレートオパール」の別名で呼ばれる事もあります。
なるほど、丸いノジュールの中に茶色のオパールが詰まっている様子はチョコレートトリュフにそっくり、チョコレートオパールとは良く名付けたものだと思います。
*Gem Information誌の記事に基づく
魅力的な石なのにジュエリーフェアでも滅多にみかけないなと思っていたのですが、その理由の一つは原石のノジュールが割れやすく少人数による手作業で一つ一つ丁寧に掘り出さなければならない為に採掘量が限られてしまう事に有る様です。
もう一つの理由として残念ながらやや強度に問題がある様です。
オーストラリア産を代表とする堆積性オパールがゆっくりと形成されるのに対し、比較的短い期間で形成される火山性のオパールは元々不安定で、特に水分を多く含むものは乾燥に弱く加工や強い照明にさらされる事によりヒビが入ってしまう事が有ります、このエチオピア産のオパールも火山性で研磨の加工途中で破損が生じた事例が多く報告されています。
しかしチョコレート色の地肌に鮮やかな赤や緑の遊色が踊るこの石は非常に魅力的ですから、そのうち弱点をカバーする方法が見つかり宝石としてポピュラーに流通する時もくるのでは無いかと思っています。
仕事柄オパールの保存について訪ねられる事があります。
乾燥をさけ湿気のあるところに保管するか、出来れば置いている場所の近くにコップに入れた水を置く様にすれば良いと思います。
しかし火気や極端な乾燥を避ければそれほど極端に神経質になる必要はありません、むしろ硬度の低さからくる摩擦による傷や加工を含む衝撃による破損を心配した方が良いでしょう。
ただし傷を恐れてティッシュでくるんで保管したりするのはお薦めできません*、また汚れても超音波洗浄機にはかけない様にして下さい。
*紙が水分を吸い取るので乾燥する危険性あり。
そう云えば日本人は世界でもっともオパールを好む民族として知られていますが、その変化に富んだ美しい遊色が好まれるという理由と共に、日本の湿度の高さがオパールの保管に適していると云う事もあるのかもしれませんね。
Opal/Shewa Ethiopia
*写真は遊色をはっきりと写すため濡らした状態で撮っています。