謎の「虹色」
Quartz/INDIA
石好きさんの間で密かに話題の「天然オーロラクォーツ」扱っている業者さんの近くをたまたま通りかかったので見せていただきました。
う~むこれは奇麗だ。
通常「水晶のレインボー」と呼ばれている水晶内部のクラックに空気膜が張られる事により生じる「虹」とは全く別物です。
結晶形は柱面の短いアメシストやカクタスクォーツによく見られるような形で一つ一つの結晶は小さなものがほとんどですがたしかに虹色に輝いています、中には表面だけではなくレインボーがファントムとなって水晶内部から虹色に輝いているものもあり、透明度の高いものはまるでシャボン玉のようにキラキラとしています。
結晶の中でオパールのごとく輝くファントムのタイプが欲しかったのですが、大変稀少とのことでかなり高価、かなり強気!
出始めのものなので相場もわからず取りあえずサンプルとして一番安価だったサムネイルサイズの物を入手しました
透明度は低いものの「虹」は一応出ています、多分輸送中にクラスターが欠けた破片だろうなーこの石。
パワーストーンショップで良く見かけるオーロラクォーツは水晶表面に金属を烝着させたものです。
天然のものにもブラジル産の水晶にチタンによる自然のコーティングで虹色に輝く物があり(水晶の晶洞の近くにチタンの鉱床が有り、地熱でチタンが溶けて蒸着したもの)この水晶も同じような出来方なのではないかと言う話を石屋さんから聞いたのですが…実際どうなのでしょう?
この石を見ると結晶の隙間に酸化鉄らしき付着物が残っている部分があり、私も最初は金属系の蒸着かと思っていたのですが、じっくり観察するとなんだか違うような。
蒸着のオーロラと違って虹色の光は均一ではなく結晶面の奥から出ている様に見え、その様子は天川のレインボーガーネットの光り方によく似ています。
色々調べるうちにこの虹色は発見者の名前から"ローウェル効果"と呼ばれるウルグアイのアメシストにみられるアデュラレッセンスに似た光学現象ではないかとの説をみつけました。
この現象は双晶内の目に見えないほど薄いファントムの結晶面が重なり合ってムーンストーンの様なラメラ構造を作る事によって生みだされたものと考えられます。
私見ですが現物を観察する限り、この光学現象説が合っている様に思えます。
素人判断で自信が無いのですが、どうもこの水晶、ブラジル式双晶の様に思えるのです
ブラジル式双晶は結晶の方向性が異なる右水晶と左水晶が合わさったかたちの双晶です。
もしかしたらこの現象、ブラジル式双晶の中で結晶の方向性が違う結晶面が薄く幾重にも重なり合うことによって光が屈折して起こる現象なのかも??
いずれにせよこの虹色の正確な原因は現在カリフォルニア工科大学で分析中との事なので、その結果を待つしかなさそうです。
産地に関してはインドのカーヴィーと聞きましたが、おそらくこれは産地ではなく石を取引した集積地の場所だと思われます。
しかしインドの水晶であることは確かなようです。
それにしてもこの水晶、写真を撮るのが難しい。
もっと良い写真がとれたら何れ差し替えるかもしれません(^^;
追記:資料としてLINKを掲載
ローウェル効果の発見者Jack Lowell氏のHP
ローウェル効果の詳しい解説