KAMMENNYI TSVETOKー棗猫の標本箱

"KAMMENNYI TSVETOK(カーミニツヴィートク)"は鉱物蒐集に関する個人的な覚え書きのBlogですFC2より引っ越しました。 サイト名は真の美しさを求め石の花を追い求める石工を描いたロシアの作家パーヴェル・バショーフの小説集の題名「石の花」のロシア語表記から採りました。 *当サイトの管理人は著作権を放棄しておりません、文章及び画像の無断転載はご遠慮下さい。

角砂糖?入りアメシスト【10/28追記有り】

四角い内包物入りアメシスト

Snow ball Amethyst/Ametisnta do sull ,Riogrande do sull BRAZIL

先月新宿で開催されたIMAGE展、私は他の用事が重なってしまって会場には2日目の土曜日にたったの一時間しか居られませんでした。

それでも探していた石が一つ見つかったし仲間内で評判だったインドのお店も見たのでのでそれなりに収穫あり…かな^^;

その数少ない収穫品が写真の石です。

良く見るスノーボールアメシストじゃないかって?それがちょっと違うのです。

こちらが普通の白玉入りアメシスト


下が今回みつけたもの。


アメシスト


何となく内包物が丸ではなくて四角く見えませんか?良く見ると三角形の物も。

実は半年程前にスノーボールに似たタイプで四角い内包物入のアメシストが存在する、中に入っているのはフローライトまたはカルサイトではないかという話を某石屋さんから聞いてずっと探していたのです。

その後フローライト入りアメシストと呼ばれる石を店頭で見かけたのですが、それは塩の結晶を少し大きくしたような透明な立方体の結晶がビッシリと入り込んだタイプとこの石のように角砂糖のような白いものが入り込んだタイプがありました。

今回見つけたのは後者のタイプです。

さてこの内包物の正体は?一般的にそう言われているようにクリストバライト? フローライト、それともカルサイト?

この角砂糖もアップにしてみると白い球状の内包物と同じものに見えますよね。

一種類の鉱物ではなく複数の鉱物クリストバライト、カルサイト、フローライトが混じり合ったものだと言う説もあるのですが正解は何なのでしょう?

以下追記


アメシスト

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赤と黒

Tourmaline-on-Quartz3

Tourmaline(Ver.Rubellite) with Smorky Quartz

/Staknala mine, Shangus Valley, Skardu, Pakistan

濃いピンクのルベライトと黒に近い煙水晶、白い雲母の色の対比が鮮やかでとても魅力的な石です。

ルベライトはマンガンイオンの影響により赤く発色したトルマリン、名前の由来はラテン語の“Rubeus(赤い)”から来ています。

行きつけのお店で見つけたものですが、このタイプは最近出て来たものだそうです。

産地はパキスタンとの事なのですが今ひとつ詳細がはっきりしません。

ネットで調べたらe-bayで幾つか似たタイプの石が出ているのを見つけました、記載された産地を見ると「ペシャワール

うーん、この産地名にはちょっと疑問が浮かびます、ペシャワールアフガニスタンとの国境近くにある高地の都市ですがこの町はパキスタンアフガニスタンで採掘された宝石の集積地として有名です、日本で言えば甲府御徒町の様な場所でしょうか。

購入したお店の方にきいてみると、やはり其所は石が取引された場所で産地ではないだろうとの事、

ルベライトと言うとアフガニスタンの物が有名なのでアフガニスタンで採れた石がペシャワールに持ち込まれて売られたのでは?と思ったのですが、ご店主曰くあくまでもパキスタンの石だそうです。

今度同じタイプの石がまた入ると言うので産地を確認していただく事にしました。

さて後日お店に行って教えて頂いた産地名は「Staknara」

残念ですがこの地名、地図にも載っておらずネットで調べても何も出て来ません、ローカルな地名の現地発音をアルファベットに落とし込んだものかも。

大まかな場所で言うとギルギットの周辺なのだそうです、ギルギットなら煙水晶もトルマリンも産出するからまぁ納得はできます。

追記:産地判明しました、いつも拝見しているWEBshopで同産地と思われる石を発見。地名の表記がstaknaraではなくStakna l aでした、この地名で調べるとピンクキャップのトルマリンや煙水晶の産地である事が分かります、購入したお店できいた産地の場所とも一致するので間違いないでしょう。

お店の方曰く同じ産地の物で宝石質のルベライトとクリアな煙水晶単晶のキャビネットサイズの見事な石もあったそうです、写真だけ見せていただいたのですがミュージアムクラスの素晴らしいものでした。

既に売却されていましたし有ったとしてもとても手が出せる値段ではないけれど一目実物を見たかった、巡り巡ってそのうち何方のコレクションで見られるかも知れませんね。


Tourmalrine-on-Quartz2

内包物の正体は?

先日UPした内包物入りの内モンゴル蛍石の写真をTwitterで結晶美術館のDoubletさんに見て頂いたところ「歪んだ結晶の形を見ると菱鉄鉱の可能性がある」と教えて頂きました。

なるほど結晶の形を良く見ると等軸晶系の黄鉄鉱ほど整った立方体ではなく、ひしゃげた菱形の形で三方晶系に近いです。

蛍石の内包物という事で真っ先に黄鉄鉱が頭に浮かんでしまいましたが、思い込みを捨てて、先ずは結晶の形をしっかりと観察する事が大事でしたね。

シデライト付き水晶

この菱鉄鉱FeCO3(シデライト Siderite)は酸化鉄を多く含む鉄鉱石で古くから製鉄に利用されていました、鉱物名Sideriteはギリシア語の鉄(sídero)に因んだものです。

方解石CaCO3と良く似た結晶構造を持ち見た目も良く似ています、菱マンガン鉱(ロードクロサイト)とも非常に近い鉱物で菱鉄鉱に含まれる鉄(Fe)がマンガン(Mn)に置き換わると菱マンガンMnCO3になります。

もともとは黄みがかった透明感がある結晶なのですが、良く見かけるのは表面が風化して不透明な茶褐色になったもの、代表的な形は菱面体ですが他にも球状やカルサイトによく見られる葉片状の結晶もみられます。

上の写真ははネパール/ガネッシュヒマール産の水晶に共生している菱鉄鉱です。

水晶表面に見える菱形の茶褐色の結晶の他に水晶内部に入り込んでいる板状の結晶が見えます。

内包されている方は銀色に見えるので最初は別の物かと思ったのですが、持ち帰ってじっくり観察したら同じ物である事が分かりました。

この銀色はおそらく結晶の色ではなく水晶と菱鉄鉱の結晶の隙間の空気膜が光って銀色に見えるのではないかと思います。

内包物をアップにすると菱形の層が重なり合う結晶面の様子が良くわかります。

内包物拡大

内蒙古の変わり種蛍石

Fluorite With Garnet /Huanggang Mine Innner Mongolia China

最近、みつけたちょっと変わった蛍石です。

産地は中国 内蒙古自治区、一緒に共生している鉱物は石榴石です。

一見ダルネゴルスクの蛍石に似た無色透明の結晶なのですが、アップにしてみると…

fluoriteinclusiou2vga.jpg

結晶の中に何か内包されているのがお分かりでしょうか?

更にアップにすると結晶の成長面に沿うように四角い結晶が重なっているのが分かります。

お店の方曰くこれは共生している石榴石ではなく別の鉱物ではないかと。

黄鉄鉱か褐鉄鉱に見えるのですがこれなんだと思いますか?

fluoriteinclusion-vga.jpg

スペシャル!

バイカラーベリル

Bi-color Beryl/

Baha, Braldu Valley, Skardu District, Baltistan, Northern Areas, Pakistan

新宿ショーの捕獲品です。

ベリルなんて滅多に買わないんですが、この石にはやられました。

アクアマリンとモルガナイトのバイカラーのベリルです、このタイプ一昨年あたりから見かけるのですが結晶の形の良い物は色が淡く今ひとつピンとくるものが無かったのです。

モルガナイトは多くが短柱状や平板状で出ます、その為かこのタイプのバイカラーベリルも短柱状の結晶が多く、アクアマリンの様なすっきりとした長細い結晶で色のはっきりと出ているものは見た事がありません。

この石もずんぐりとした形ですが、晶頭がキチンと残っているところとベリル版ブルーキャップと呼びたくなるアクアマリン部分の色鮮やかさに惹かれました。

ベリルは六方晶形を形作るベリリウム(Be)を含むケイ酸塩鉱物でその豊かなカラーパレットで知られた石です、グリーンのエメラルド、ブルーのアクアマリン、イエローのヘリオドール、ピンクのモルガナイト、無色のゴシェナイト、赤いレッドベリル(レッドベリルだけ特有の宝石名が無いのは、産出量が少なく宝飾品としてほとんど流通しないからではないかと思います。)

それぞれの色の違いは含まれる元素によって生まれます、アクアマリンは鉄 (Fe2+)モルガナイトはマンガン(Mn)による発色です。

この結晶の様なバイカラーは青-ピンクの組み合わせ以外にもAqua-Gshenite(青ー白)やAqua-Heliodor(青ー黄)という組み合わせも存在します。

緑のエメラルドとブルーのアクアマリンのバイカラーも存在するという噂もありますが、残念ながら実物を見た事はありません。

この石、実はもう一つ面白い特徴があります。

ブルーのアクア部分に透明なチューブインクリュージョンが含まれているようで光の当たり方によってはシャトヤンシー効果が見られるのです。

なかなか見所の多い「スペーシャル」な石でしょ(^_^)

バイカラーベリル

森の欠片

珪化木(青森)


珪化木(木化蛋白石)/青森県/日本

新宿ショーで見つけた石です。

メインの買い物は終わったし、後は小さな錦石のタンブルでも買おうかなと老舗の青弘苑さんを覗きに行くと、錦石のタンブルは売っていたのですが何故かどれも目玉のシールが貼られて「錦蛙」なるものに変身していて…(笑)

この目玉外せるかしらと思案しながら石が陳列された棚を眺めていてふと目が止ったのが写真の石。

「それは小っせえけど良いもんだよぉ、化石が中に入っとる」とご店主。

「珪化木ですか?」「そ、珪化木、今はながながそんなに良い物は採れねぇのよ」朴訥としたお国言葉で、この石の来歴をお話をして下さるのですが関東の人間の耳にはところどころ聞き取れないのが残念です。

この石、一見地味だけど年輪がくっきりと出ていますし何よりも持った感触が良い、何とも言えない不思議な味わいがあります。

津軽の錦石は特定の鉱物や岩石を指す物ではなく、この地方で取れるジャスパーや瑪瑙・玉随など磨くと美麗な模様と艶を示す石の総称です、模様毎に細かい分類がなされていますがこの石の様な珪化木も含まれ錦珪化木と呼ばれています。

「産地は?」とお訊きすると「あれと同じだよ」と張り紙をさすので見ると「白神山地」あの周辺の川か湖で採れたものなのでしょうか。

いずれにせよ古代の津軽地方の森の一部がこうして手元にあると思うと浪漫を感じますよね。

珪化木は青森以外でも東北の各地で産出します、有名な岩手の作家宮沢賢治は岩手の江刺郡岩谷堂で採れた珪化木(木化蛋白石)を印材として東京の宝石店で売り出す事を考えていたそうです*

残念ながらサンプルは送ったものの素材として適さないと判断されたのか、その計画は頓挫してしまった様です。「石っこ賢さん」と言われた宮沢賢治らしいエピソードだと思います。

*鈴木健二著「宮沢賢治文学における地学的想像力(1)(2)より

東京国際ミネラルフェア2013ちょこっとレポ

さて肝心の東京国際ミネラルフェア(新宿ショー)なんですが

何だか毎年愚痴ってますが今年も言わせて下さい、人多すぎ通路狭すぎです。

入った途端に中央突破は諦めて比較的空いている壁沿いに見て回ることに。

会場奥で毎年覗いているパキスタン系のお店(通称スペシャル親父)のお店で珍しくベリルが気に入ってしまい「これは負けられない、何故ならスペーシャルな石だからだ!」というのを私にしては頑張って値段交渉した末に何とかちょっとだけ安くしてもらって購入、飯田橋で使いすぎた所為もあって、これ一個で予算ほぼ終了(^^;

さて今回のショー、ざっとみたところは目新しいものは無し、じっくり見れば面白い物を拾えるのでしょうが何しろ人が多すぎで石をじっくり見るどころではないのです。

それでも目に留まった物を羅列して行くと(何れも買えませんでしたけど…)

・チェリヤビンスク隕石は数カ所で扱っていました、g売りが多いです。

・今回は特別展のテーマに合わせてか海洋生物の標本を取り揃えている海外業者が目を惹きました。

とくにフランスのお店SAS ELDONIAさんにずらっと並んだカニの化石は壮観、財布に余裕があれば一つ欲しかった。(写真1)カニ化石はドイツのお店PeterPittmanに展示されていたものも動き出しそうなくらい見事なものでした。

・小さめの火山弾をまっ二つにした「火山弾の中のオリビン」の標本が興味深かったです。中はあんな風になってるんですね。(写真2)

ポーランドのシャーレンブレンドやバッデッドフリントを並べているお店も面白かったです。ここでバンデッド・フリントのペンダントを一つ買いました。

良く見ると三葉虫も売っていたので探せば色々面白い物が見つかったかも。(写真3)

・第二会場で中国湖南省瑶崗仙の質の良い蛍石を並べているお店がありました、とにかく綺麗な物が多く最近の相場を考えると価格的も妥当だったと思います。

三葉虫で素晴らしかったのはTorilobite of Americaさん、素人目にも質の良い美しい化石が多く何時かあんな化石を一つ買ってみたい。

とにかく会場の人いきれと熱気が凄まじく、回っているうちに頭ががんがんと痛くなってしまったので早々に引き上げました。

時間が取れる人は平日の月曜日か最終の火曜日を狙った方がじっくり見られると思います。

私も次回はそうしたい。

写真1カニ化石

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写真2火山弾中のオリビンの標本

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写真3ポーランドの業者さん

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